「マイナンバー」ではありませんよ!
こんにちは!開発マネージャーのYです。
プログラミングだけではないですが、たくさんの事を考慮して進めなきゃいけないことや、複数のタスクが関連していて、どうすすめたらいいか、、、ってことで悩んでいる人も少なくないです。
マネージャーとして、「パンクします(してます)!どうしたらいいですか?」って相談受けることもあります。
そんなときに伝えているマジカルナンバーについて今回は書いてみます。
知ってる人は知っているマジカルナンバー。
日々の生活から仕事まで幅広く使える!!と思います。
- 考えなくちゃいけないことが多くて、仕事が手につかない
- 複数タスクを同時に進めるのが苦手
- パッと物事を覚えるのが苦手
- 複雑な仕事をどんなふうに進めていいかわからない
というような方は是非読んでってください。
マジカルナンバーってなに?
「The Magical number seven, plus or minus two: some limits on our capacity for processing information」という論文の中で、一度聞いただけで直後に再生するような場合、日常的なことを対象にする限り記憶容量は7個前後になるということを示した。この7個というのは情報量ではなく意味を持った「かたまり(チャンク)」の数のことで、数字のような情報量的に小さなものも、人の名前のように情報量的に大きな物も同じ程度、7個(個人差により±2の変動がある)しか覚えられないということを発表した。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ジョージ・ミラー_(心理学者))
上記をマジカルナンバー7±2(ミラーの法則)と言います。1956年にPsychologicalReviewに掲載。
シンプルに言うと、短期記憶について
人間って、一度に頭の中に置いておけるのは7±2個までだよ(=5個から9個)
ってことです。
また、その後、2001年にネルソン・コーワン(心理学者)がマジカルナンバー4±1 を提唱します。
一度に頭の中に置いておけるのは4±1個までだよ(=3個から5個)
らしいです。
短期記憶について
短期記憶っていうのは、一時的に作業をするために頭の中に覚えておく「記憶」です。
日常生活で、
数字を紙で見てコンピュータに入力
wifiの機器の裏に貼り付けてあるカードからパスワードを見てスマホに設定
などなど、いわゆる「短期記憶」を使う場面って結構多いと思います。
ではここで記憶の例題を。
覚えるための制限時間は2秒とします。
さあ、以下の9文字、パッと見て覚えられますか?
a h x q m y x r i
こんなランダムなものをすっと覚えて取り扱える人は短期記憶が優れていますね。一応これがミラーさんの言う マジカルナンバー 7±2 の+2、9文字のパターンでした。
では同様に例題を。
制限時間は同じく2秒。
5文字ならどうですか?
k j s r h
の言う マジカルナンバー 7±2 の-2、5文字ならほとんどの人が覚えられる。
では、これはどうですか?
r e s t a u r a n t g r e e n b o o k
いかがでしょうか。
わかりましたか?
r e s t a u r a n t g r e e n b o o k
となっていて、これは英語を勉強したことのある人なら余裕で覚えられますね。ランダムな文字を覚えようとすると大変ですが、文字の連続に意味を持たせることができれば簡単です。
これを「チャンク」と言います。
チャンクとは
チャンクとは、大きな塊、ぶつ切り、大量(の)、などの意味を持つ英単語。ITの分野では、大きなデータを分割して制御情報を付加したひとまとまりの断片などのことをチャンクと呼ぶ。
https://e-words.jp/w/チャンク.html
このチャンク、というひとかたまりの情報として対象を取り扱うことで、この かたまり 群を短期記憶の対象として扱えるようになります。これによって、複雑な物事の全体像を把握して考えられるようになる、ということです。
これを読んでるみなさんはアルファベットを知っているので、5文字のアルファベットを覚えられたと思いますが、アルファベットをまだ知らない小学生がいて、その子からみたら一つ一つの文字自体が複数の線からできているだけで、記憶など到底できないわけです。
- かたまりの対象(視点、レイヤ)を変えることで、取り扱える情報の対象群を切り替えることができる
- 短期記憶で覚えておける情報は 5~9 ( or 3~5 )
ということが大事です。
この知識をどのように利用するのか
このマジカルナンバーの上限9を目指して短期記憶を伸ばしましょう!!!
ということではございません。
人間の短期記憶の限界である 7±2 ( or 4±1 ) を把握しながら適切に利用することで、物事をちゃんとコントロールできる状態で進めていきましょうってことです。
人は、自分ができることを正確に把握し、限界を知ることで代替の手段を取ることができます。
Case 1 考えなくちゃいけないことが多くて、仕事が手につかない
ここまで読んできたあなたならわかるはずです。仕事が手につくように「考えなくちゃいけないことが本当に今考えなくちゃいけないこと」なのかを先に白黒つけましょう。
そして、仕事が手につくように「短期記憶」にあるチャンク群を整理して、仕事だけに「短期記憶」を利用できる状態にしましょう。
Case 2 複数タスクを同時に進めるのが苦手
複数のタスクを同時に進めるのが苦手な方。何が苦手だと思いますか?私が把握しているこのケースは、ほとんどがこのケースです。
特定のタスクを進めている最中に他のタスクのことを考えてしまう
特定の作業中は、短期記憶の領域をその作業のみに絞って行うべきです。
- タスクの優先順位をつける作業(タスク毎に記憶領域を使う視点で優先順位をつける)
- 1つのタスクを完了させる(特定のタスクを完了させるために記憶領域を使う)
という切り替えをしっかり行って、目の前で行うべきタスクに集中しましょう。
Case 3 パッと物事を覚えるのが苦手
物事を覚えるときのコツってありますよね。また例題です。次の漢字を覚えるためには?
庭 手 水 空 鬼 木 夢 赤 先
これを意味のない9個の漢字として覚えておく、というのは結構難しいです。このようなケースだと、例えば
庭にいたら手に水が落ちてきたので(雨かなと思って)空を確認したら鬼が近くの木の上からつばを飛ばしてきていた、という夢を見た。赤鬼だったけど、中学校の先生に似ていた。
ちょっと強引ですがwww、こんな漢字で個々の漢字を一つの「ストーリー」の部品として構成させることで、漢字の組み合わせを頭にいれることができますね。
いわゆる語呂合わせといえます。
語呂合わせ(ごろあわせ)は、ある文字に他の音や他の意味を重ねることによって行う、言葉遊びあるいは何らかの情報を覚えるとき、または覚えてもらう時などに用いる手法。
https://ja.wikipedia.org/wiki/語呂合わせ
物事を覚えるのが苦手な場合の大半が、意味や背景を理解せず、単なるワードとして覚えようとしているケースです。物事を関連付けて、意味づけし、色々な角度から覚えるように試してみましょう。
Case 4 複雑な仕事をどんなふうに進めていいかわからない
複雑な仕事はどうやったって複雑です。それを一気に頭の中で考えて進められないのならば、
複雑な仕事を分割して、コントロールできるチャンクの塊に一つずつ分割していくことを考えましょう。
アンコントローラブルな量の情報を一時間頭の中でこねくりまわしても、良い答えが導き出せるケースは稀です。
分割した塊がまだ複雑ならさらに細かく分割して、コントロールできるひとつずつのチャンクとして、適切にコントロールできる状態になるまで切り分けてからタスクを進めましょう。
前のほう(アルファベットを知っているから5個のアルファベットを覚えられる)で書いたとおり、仕事を通じての経験や知識が豊富であるほど、複数要素で構成された複雑なものをひとかたまりとして正しく認識し、ひとつのチャンクとして取り扱うことができるようになっていきます。
頑張って一つづつ経験していけば、複雑な仕事も次第にコントロールできるようになっていくはずです。
応用編
ここまでは、「自分の記憶領域をうまく使いましょう」という視点で見てきましたが、これは同様に自分以外の誰かに対して情報共有をする場合、情報を伝える場合にも意識するとメリットがあります。
よくこのマジカルナンバーとともに上がるのが「ジャムの法則」です。
スーパーのジャム売り場で、ある実験が行われました。ある週はジャムの試食を6種類、また別の週には24種類ものジャムを用意し、その売り上げを比較するというものです。ストロベリージャム、ブルーベリージャム、オーガニックのジャムや高級ジャム…様々な選択肢を目にしたとき、購入者はどんな選択をするのでしょう。
https://www.nec-nexs.com/bizsupli/break/topic/index28.html
結果は、意外なものとなりました。24種類の試食があった週には購入者は3%だったのに対し、6種類のみの試食だった週は30%の人が購入したのです。その差は、実に10倍!
上記はひとつの実験の結果で、全ての事例に適用できるとは言えませんが、こんな法則もあるという紹介です。
相手に物事を伝えたり、意思決定してもらう、ということは仕事(人に行動を促す)上で大変重要です。これを情報を伝えるときに使うこと、
例えば、
- 販売するプランが多すぎる場合に、選択肢を分ける
居酒屋さんに行ったときに「おすすめメニュー」「定番メニュー」「ドリンク」など分割されているものがなかったら、大変かもしれませんね。
適切にカテゴライズすることで、意思決定が容易に進むように選択肢を2段階、3段階に分割して一度にする意思決定の対象数を減らすということです。 - WEBサイトのナビゲーションメニューを絞る
あまりに多すぎるメニューがあると、全部を把握するのが大変なので、適切な量に分割して選択肢を提示することも同じですね。 - プレゼンで相手に情報を提供するときは、適切にチャンクの対象を切り替えながら、把握できるように
よくあるのが「メリットを3点あげて説明する」。数が多すぎるとなにが重要かわからなくなってしまい、正しい意思決定を邪魔する場合もあります。
多くの情報を提供する場合は、相手がチャンクの層を適切に切り替えて把握ができるように「細かい説明をする前にこれからする話の全体像を説明して、細かい説明を整理して入れる箱をつくる」なども考えられます。
などなど。
最後に
マジカルナンバーを知らない方向けに記事を書いてみました。興味がある方は更に調べてみたり、実践してみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
No! Try not. Do. Or do not. There is no try.
( 違う!やるか、やらぬかだ。ためしなどいらん。)
文:開発部Y