経営管理

欠勤すると控除される話

経営管理部のT.Hです。例年に比べて暖かい日が続きますが、華やかにライトアップされた街角を歩いていると師走の到来を実感している今日この頃です。そんな彩られた景色の中でイメージカラーが黄色いレコード屋さんの赤い宣伝文句が目に入ります。そこで今回はNO WORK, NO PAYの話となりました。

ノーワークノーペイ

ご存知の通り働かない分は支払いがないという意味です。いわゆる日給月給制を採用している企業では、このノーワークノーペイを根拠として欠勤、遅刻、早退分は給与から控除されます。労働の対価として給与が支払われているので、労働がない分は控除されるという内容です。

根拠は民法624条

ノーワークノーペイの根拠は民法624条です。ネットでは労働基準法第24条が紹介されていますが、この条文は、労働者が働いた分の賃金は全て払いましょう。という内容です。民法624条では「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない」としています。欠勤したときは労働が終わっていないので、その欠勤分の給与は請求できないという理屈になります。但し、会社の責任で欠勤せざるを得ない場合は補償されます。ここで気を付けたいのは、電車の遅延により遅刻した場合は会社の責任ではないので控除されるという点です。民法は任意規定なので就業規則等で決まっていればノーワークでもペイがあります。

使用者の責に帰すべき事由

会社の責任の事を使用者の責めに帰する事由と言います。民法536条では、債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。としています。つまり会社の責任で労働者が労働できなくなったときは、会社は給与の支払いを拒めないということです。この場合は給与の100%を支払う義務があります。一方、労働基準法26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。としています。つまり会社の責任で労働できなくなったときは、給与の60%以上を支払わなければいけないという事です。民法と労働基準法で支払う給与の額に違いがあります。

労働基準法は労働者の生活保障

民法は100%なのに労働基準法は60%しか補償されません。何故このような差があるのかと言いますと、民法より労働基準法の方が使用者の責めに帰する事由に該当する範囲が広いためです。民法で会社の責任とされる内容は範囲が狭くなかなか適用されません。これに対して労働基準法は労働者の最低生活の保障のための制度なので、使用者責任になり易いように定められています。使用者責任になりやすい分支払い額に差がついているという事です。

以上NO WORK, NO PAYの話でした。外国のジョークにNO MONEY, NO HONEYというのがあるのですが、なかなか鋭くブラックなジョークなので気に入ってます。

文:経営管理部T.H