経営管理

減税の一方で増税あり

今年は定額減税です

経営管理部のT・Hです。今年も早いもので梅雨の季節になりました。この時期になると気になるのが住民税です。毎年6月から始まりますが今年は様子が違います。定額減税の適用により多くの人が7月から徴収されます。減税額は扶養の数によって決まるので、たくさん減税される人もいます。消費にまわすほどの金額ではないかも知れませんが、住民税が下がるのは嬉しい話です。

増税の話もあります

 その一方で今年から住民税が上がる話もあります。それが森林環境税です。温室効果ガス排出削減や森林整備等に必要な地方財源を確保する観点から創設されました。今までは地方公共団体金融機構から出ていましたが、今後は住民税から徴収されます。1人年額1,000円です。納税義務者が6,000万人強とされているので、600億円程度集まる計算です。600億円も必要なのか、600億円が正しく使われるのかは注視すべきかも知れません。
 取組としては、森林整備の他にも人材の育成、木材の利用や普及啓発が挙げられます。実際に再造林や倒木防止のための伐採・植替えが行われており、花粉の少ない苗木や広葉樹の植栽も実施されています。林業作業者の労働環境の改善や安全確保も重要な課題とされていて、ドローン等のリモートセンシング技術の活用や、携帯電話の通信圏外エリアへの緊急連絡用機器の導入支援が行われています。

水源税から森林環境税へ

 

 森林が有する機能には雨水を地中に浸透させるというものもあります。今回の森林環境税も当初は森林の水源涵養(かんよう)機能を確保するための水源税の導入を目指していました。しかし導入には至らず、紆余曲折を経て現在の形になりました。導入実現のポイントは温室効果ガス削減と結びついた点かも知れません。
 温室効果ガスへの対策は世界的にも急務とされています。更にプラネタリーバウンダリーにより地球環境の限界が示されたことで、いよいよ待ったなしの状況にあるという認識が広がりました。そういう背景があるので、森林環境税の導入も、水源税という話を前面に出すよりも温室効果ガス対策メインの方が進みやすかったのではないでしょうか。

日本の取り組みと増え続ける費用の財源

 温室効果ガス問題は日本国内でも様々な対策が講じられていて、例えば、グリーン成長戦略の策定や脱炭素先行地域の選定等が挙げられます。また、新築住宅・非住宅への省エネ基準適合の義務付けも閣議決定されました。
 内閣府が掲げる目標には地球環境の再生があるので、森林環境税にとどまらず今後も地球環境に結び付く施策は増えていくことでしょう。今回のように国民が負担するケースも出てくるのでしょうか。現在、内閣府の目標は10種類で、どれも簡単には実現できそうにありません。これらの目標を達成する為には幾らかかるのでしょうか。2030年、2050年と期限が設けられている中で、対策にかかる費用をどのような形で国民が負担していくのか気になるところです。

文:経営管理部T・H