こんにちは。開発・デザイン部マネージャーのAYです。
複数の自社サービスに携わっています。新規の企画もたくさんある中で、日々の仕事の進め方や判断のスピード感が、”ベンチャー独特”だなと思うことが多いです。最近「ベンチャーの作法」を読んだので、せっかくだし紹介しておきます。
そこまで分厚い本ではないので、サクッと読めます。移動中や隙間時間でも十分読める量です。
そもそも大企業とベンチャーで何が違うのか
大企業とベンチャーでの違いをピックアップします
大企業で求められること
すでにビジネスモデルが確立された大企業では、以下のような能力やマインドが重視されます。
- 既存の枠組みの中での最適化
すでに出来上がったビジネスモデルをいかに効率よく回すか。品質を維持しながらコストを下げる、オペレーションを改善する、といった視点が求められます。 - 組織内での円滑な調整力
関係部署が多く、各部門の承認が必要なプロジェクトでは、社内調整や合意形成のスキルが重要です。稟議を通し、各部門から承認を得るプロセスが業務の大きな部分を占めることも珍しくありません。 - 確立されたルールやプロセスの遵守
品質管理、コンプライアンス、セキュリティなど、これまで積み上げてきた社内ルールや業界標準があります。これらを守りながら仕事を進めることが求められます。 - 専門性の深堀り
営業は営業、開発は開発、マーケティングはマーケティング、といった具合に役割が明確に分かれており、さらにその中でも細分化された自分の担当領域でのスペシャリストを目指すキャリアパスが一般的です。
ベンチャーで求められること
一方、ビジネスを作ったり発展させていくフェーズのベンチャーでは、求められることが大きく異なります。
- ゼロから作り上げる力
既存の枠組みがなかったり、まだ不完全な状態です。「このルール、どうなってますか?」と聞いても「ない」と返ってくることもザラです。ルールがないなら作る、仕組みがないなら考える、ルールが納得できないなら正しいルールに変えてやろう、というマインドが必要になります。 - スピード重視の意思決定
市場の変化が速く、競合も多い中で、とにかく早く試して早く学ぶサイクルを回すことが重要です。100点満点を目指して時間をかけるより、60点でもいいから早くリリースして市場の反応を見る、という判断が求められます。 - 役割を超えた幅広い対応
人数が限られているため、「それは私の仕事じゃない」という発想は通用しません。仕組みが十分に整っていないので、タスクに対して誰がどう行うべきか、ということが決まっていないものも多く、役割を超えて動くことが日常茶飯事です。 - 失敗を前提とした試行錯誤
正解がわからない状態で進むことが多いため、失敗は避けられません。むしろ、失敗から学んで次に活かせるかどうかが重要になります。失敗を恐れて動けなくなるより、小さく失敗して早く修正する方が価値があります。
※ただし、とんでもないデカい失敗だけは発生しないように注意! - 変化への柔軟な対応
昨日までの方針が今日変わることもあります。朝令暮改だってあります。市場の反応、競合の動き、社内リソースの変化などに応じて、柔軟に方向転換できる対応力が求められます。
また、その前提でどのように動くべきかを考えて動く必要があります。
この本が教えてくれること
この本では、ベンチャー企業で成果を出すための考え方や行動様式が具体的に書かれています。
特に印象的なのは、「大企業で評価されていた人がベンチャーでうまくいかない理由」と「ベンチャーで成果を出す人の共通点」が明確に整理されている点です。
例えば、大企業では「慎重に検討を重ねてリスクを最小化する」ことが評価されますが、ベンチャーでは「不確実性の中でも前に進める判断力」が求められます。
また、大企業では「担当領域での専門性」が重視されますが、ベンチャーでは「広い視野で全体を見渡し、必要なことは何でもやる姿勢」が重要になります。
実際の現場で感じること
弊社は自社サービスを複数運営しているITベンチャーです。過去には、オンプレミスで200台近くのサーバを運用していた環境を、わずか1週間でAWSに(半分程度)移行したこともありました(弊社メインサービスのインフラについて)。
このとき、外部に委託すれば2000万円以上かかる(移行作業のみで動作保証なし)と言われた作業を、社内の限られたメンバーで成し遂げました。「できるかどうか」ではなく「どうやったらできるか」を考えて動いた結果です。
大企業であれば、まず稟議を通し、予算を確保し、外部ベンダーに見積もりを取って、というプロセスを踏んだかもしれません。しかしベンチャーでは、目の前のトラブルに対して即座に判断し、手を動かして解決することが求められます。
大企業とベンチャーのどちらが良い悪いではなく、それぞれに求められることが違う、という前提を理解した上で、自分がどのように動くべきか、参考にすべき情報はどういったところにあるかを考えるきっかけになると思います。
最後に
ベンチャー企業で働くということは、既存の枠組みに頼らず、自分で考えて動く必要があります。不確実性が高く、失敗もたくさん経験します。でも、その分だけ成長のスピードは速く、自分の手でビジネスを作っていく面白さを味わえます。
この本を読むことで、ベンチャー企業で求められるマインドセットや行動様式を理解し、より早く環境に適応できるようになるはずです。
弊社も失敗を恐れず、前向きにチャレンジすることを最優先とする文化を持って仕事をしています。そんな環境で一緒に働きたい方、お待ちしています。
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文:開発・デザイン部 AY