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いわき市の福島原発事故による賠償金バブル 現地取材の重要性を再認識

編集部のMKです。

今月の11日は東日本大震災から、早いもので15年となりました。だいぶ昔ですが、取材で福島県いわき市というところに行ったことがあります。ちょうど震災から5年ほど経過したタイミングで、いわき市が福島第一原発事故の賠償金バブルに沸いているとのことで、実際どうなのか確かめに行きました。

いわき市は福島第一原発から50キロほど南に位置しています。原発事故の直後は、双葉町や大熊町などを中心に2万人以上の被災者がいわき市に移り住んでいました。同時に、これまでの日常の代償として東京電力から賠償金が支払われました。

移住を余儀なくされた精神的賠償として1人700万円、加えて1人あたり月10万円、さらに原発事故以前の所得を補償する就労不能損害もプラスされたり、住居や家財、山林なども補償の対象になったりして、総額で億の賠償金を受け取った世帯も少なくありません。

渡辺敬夫・元いわき市長は「東京電力から賠償金を受け、多くの人が働いていない。パチンコ店もすべて満員だ」と移住してきた人に対し、苦言を呈していました。なので、現地に入り、まずは市内のパチンコ店へ。

確かに満員。でも、パチンコ店の駐車場は高級車で連日満車だと噂されていましたが、数店舗回ってみた結果、そんなことはなく、ベンツは2台だけでした。「たまたま今日が高級車の少ない日だったのでは?」「そもそも、金持ちがパチンコに行くだろうか?」など疑問が湧いてきました。

賠償金振り込み翌日は風俗で浪費

いわき市内にある高級外車ディーラーに行き話を聞くと、カタログを取りに来る人が明らかに増えたそうで、中には「オーナーになるだけの金は持っている」と賠償金をちらつかせる人も。「目立たないように国産ファミリーカーの新車に乗り換える人が多い」とのことで、さすがに周りの目を気にしているようでした。

市内の割烹料理店の店主は、被災して多額の賠償金を手にした客は一発で見分けがつくと豪語していました。店主によると「大胆というか、お金の使い方が全然違う」そうで、「震災後からお客が一気に増えて、土日は予約なしでは受け入れられない状態になりました」と景気良さそうに笑っていました。

いわき市南部にある小名浜地区は港町で、ソープランドが軒を連ねる風俗街があります。関係者によると震災以降、5時間、6時間といった長時間コースを設定する通称「買い取り」をする客が急増したそうです。中には9時間コースと、金に糸目を付けぬ強者もいたそう。「『買い取り』の多い日はいつも集中していて、『昨日、賠償金の振り込みがあったんだろうね』と従業員同士でささやいています」(ソープランド関係者)

このほか、市役所、ハローワーク、不動産屋、居酒屋、スナックなどでさまざまな話を聞きました。そんな中には多額の賠償金が入ったため、仕事を辞めて「嵐」の全国ツアー全公演に同行している人もいました。(今は何をしているのだろう?)

取材を進めるにつれ、次第に浮き彫りとなってくる光と影。実際に現地に行かないと本当のことは分からないし、人も話してくれない。現地取材の大切さを再認識した案件でした。

文:編集部MK

いわき市内のパチンコ店。昼間から満席だった

小名浜の風俗街。「買い取り」が常態化に

大量に積まれた徐染土

この先は立ち入り禁止区域。左奥が福島第一原発