開発部

バイブコーディングの功罪

コード生成中のPCイメージ

開発部KKです。 

こちらにおせわになってはや1年と半年、開発の現場ではとてもおおきな変化の波がやってきています。それは、生成AIが開発現場に本格的に入ってきたことです。そこで少し思ったことや気づいたことをまとめてみます。

バイブコーディングとは

バイブコーディング――いわゆる「雰囲気でコードを書く」ということばには、どこか軽妙な響きがあるものの、実際の開発現場では多くの方が経験している手法だと思います。明確な仕様が固まっていない段階で、とりあえず手を動かし、動くものを作りながら方向性を探る。近年はAIによるコード補完が一般化したこともあり、このスタイルは以前より受け入れられやすくなっています。しかし、日々コードと向き合う開発者の立場から見ると、バイブコーディングには確かな利点と、無視できない欠点が同時に存在します。

スピードと創造性を引き出すメリット

まず、バイブコーディングの大きな利点は「開発スピードの速さ」です。
仕様が曖昧な段階では、机上で検討するよりも、実際にコードを書いて挙動を確かめたほうが理解が進む場面が多くあります。特に、PoC(Proof of Concept; 概念実証)を作成する段階では、完璧な設計よりも“まず動くもの”が求められます。
雰囲気で書き始めることで、アイデアが素早く形になり、関係者との議論も進みやすくなります。
また、AI補完との相性が非常に良い点も見逃せません。
「こういう処理が欲しい」という曖昧な意図でも、AIがコードを補完し、動作する形に近づけてくれます。開発者は細部に囚われず、より抽象的なレイヤーで思考できるようになります。これは創造性を大きく広げる効果があります。
さらに、完璧主義から解放されるという心理的なメリットもあります。
「正しい設計をしなければならない」というプレッシャーが軽減され、まずは試し、壊し、直すというサイクルが回しやすくなります。

技術的負債と品質低下のリスク

一方で、バイブコーディングには明確なリスクも存在します。
使いどころを誤ると、後工程で大きな負債となる可能性があります。
まず、仕様の曖昧さがそのままコードに反されてしまいます。
「とりあえず動く」ものは作れますが、実際にコードを読むと意図が不明瞭で、修正が難しいケースが多くあります。チーム開発では特に問題となるかもしれません。コードの意図を読み解くために余計な時間を必要とするでしょう。
次に、技術的負債が蓄積しやすい点です。
雰囲気で書いたコードは構造が脆く、拡張性も低い傾向があります。後からリファクタリングしようとしても、当初の意図が曖昧なため、どこまで手を入れてよいのか判断が難しくなります。その結果、負債が雪だるま式に増えていきます。
さらに、AI補完が強力になったことで、バイブコーディングの危険性はむしろ増しています。
AIが生成したコードは一見整っているため、そのまま採用してしまいがちですが、開発者が深く理解していないまま使うとブラックボックス化が進みます。雰囲気で書いた結果、雰囲気のまま壊れる――そんな状況も起こり得ます。

バイブコーディングは“使いどころ”を見極めるべき

最終的には、バイブコーディングは善悪で判断すべきものではありません。
開発者が持つべき開発手段の一つであり、適切な場面で使えば非常に強力な手法となります。

  • 初期探索フェーズでは圧倒的に有効
  • 仕様が固まった後は厳密な設計が必要
  • AI補完を使う場合は、理解と検証を怠らないことが重要

開発者に求められるのは、「雰囲気」と「厳密さ」を状況に応じて切り替える能力です。
バイブコーディングは、単なる“雑な書き方”ではなく、創造性とスピードを引き出すための戦略的アプローチになり得ます。ただし、それを武器にするか負債にするかは、使い手の判断にかかっています。

最後に

クラウドでの生成AIは複数の会社が参入し、現在激烈な競争を行っているおかげでどんどん新しいモデルがリリースされています。個人的にはローカルAIに期待しているのですが、いまはまだローカルAIでのバイブコーディングはまだまだ動き出した程度で実用できませんが、そのうち実用可能になるといいな、って思ってたりします。

文:開発部KK